【中学生向け】高校選びのポイント③

高校選びシリーズの最後は、「高校のレベルをどう捉えるか」および「高校からの就職について」です。
記事内では、公立高校の普通科について書いていきます。私立高校や専門学科については考え方が異なる部分もありますので気になる人は相談してください。

高校のレベルは〈偏差値〉と〈内申点〉

高校のレベルは、合格に必要な【学力(偏差値)の目安】、【学校成績(内申点)の目安】の2つに表れます。
たとえば、ある資料では、偏差値で神奈川トップは横浜翠嵐高校、内申点で神奈川トップは湘南高校になっています。

ただし、参考にする本やサイト、その年度ごとの人気などによって、数値は変動します。
あくまでも「およそ」の数値として認識しておきましょう。

受験する学校のレベルを上げるメリット・下げるメリット

高校のレベルを上げた方が、大学に進学しやすい?

この考え方は、ほぼ正しいです。
入学レベルが高い学校は、学習のレベルも高くなり、結果的に大学に進学しやすくなります。

一例として、3つの近隣高校について、卒業生数に対する大学の合格者の割合を調べました。
※数年間の、およその平均値です。
※私立大学は1人が何校も受験するため、100%を超えることがあります。
※「早慶上」=早稲田・慶應・上智/「MARCH」=明治・青山・立教・中央・法政/「日東駒専」=日本・東洋・駒澤・専修

偏差値目安早慶上MARCH日東駒専
大和高校6615%140%70%
海老名高校614%65%65%
湘南台高校561%10%20

高校のレベルを下げた方が、大学の推薦が取りやすい?

高校のレベルを下げる ⇒ 自分の順位が上がる ⇒ 成績が上がりやすい ⇒ 推薦がとりやすい

という考え方です。
一理ありますが、気をつけるべきポイントが2つあります。

①高校のレベルを下げると、推薦の枠が減ることが多い
…気になる人は、塾にある資料を覗いてみてください。

②高校のレベルを下げたからといって、成績が上がりやすくなるとは限らない
…「高校での成績は、高校での学び方で変わる」と考えましょう。

結論として、以下のようにまとめます。
【どんな大学でもいいから、推薦で進学したい人】
…高校のレベルを下げておいて、大学の推薦を狙う考え方も有力です。ただし、高校進学後に努力が必要であることには変わりません。

【大学を自分で選んだうえで、できれば推薦で入りたい人】
…推薦のために高校のレベルを下げることはやめておきましょう。

(ここでは、大学入試や推薦の仕組みには触れません。よくわからないなぁと思うときは、遠慮なく塾で聞いてください。)

ハイレベルな高校にギリギリで合格してしまうと、入学後についていけない?

この考えは、ほぼ間違いです。

ギリギリで合格した人が、高校に入ってから大きく伸びることはたくさんあります。
余裕で合格した人が、高校でついていけなくなることもたくさんあります。

その違いはどこにあるのでしょうか?

高校に入ってから、勉強で困る人の特徴

・中学生のとき、学校や塾の先生の指示通りの勉強ばかりをしていた
・中学生のとき、塾で大量の宿題を課され、それを終わらせるのに精一杯だった
・勉強の目的は「受験のため」や「順位を上げるため」が中心だ
・「努力しなきゃ」「成績を上げなきゃ」という強い思いがある

高校に入ってから、勉強で伸びる人の特徴

・中学生のとき、〈自分に必要な勉強は何か?〉〈自分にはどんな方法が向いているか?〉〈持っている教材をどのように活用するか?〉のようなことををよく考えた
・受験勉強は、〈何を〉〈いつから〉〈どのように〉進めるかを自分で考えた(または先生と相談しながら考えた)
・高校に入ってからも継続できるような方法で受験勉強をした
・授業中などに、教科書や資料集などをよく読む
・学校で習う科目以外にも、興味のある学問がある

最大の違いは「学ぶ力をつけたかどうか」

高校入学時の学力差は、大した問題ではありません。

最も大きな違いは、「高校に入ってからも活かせるような、自ら考え、自ら学ぶ力をつけて入学するかどうか」です。
受験勉強は、その力をつけるための大きなチャンスです。

では、高校のレベルをどう選んでいけばいいのか

模試を何度も受けてみる

いちばんわかりやすいのは、入試模試を受けてみることです。

1回だけの模試の結果を信頼せず、何度か受けてみるようにしましょう。
模試の結果をどう読み取ればいいか迷うときは、塾で相談してください。

レベルをすぐに絞り込む必要なない

受験勉強を進めてみないと、自分の偏差値がどう変動するかはわかりません。
現状の自分の偏差値を軸にして、その上下を合わせて3~5校の候補を作っておきましょう。

〈例〉9月に受けた模試の偏差値が48だった。
〈候補〉横浜瀬谷(56)・有馬(52)・旭(47)・上鶴間(44)

このように、受験校の候補に幅をもたせておくと、出願時期(1月)までじっくり考えることができます。

もちろん、高校を選ぶ基準は偏差値だけではありませんので、このようにキレイにはいかないことも多々あります。迷うことがあったら先生に聞いてみるというのも大切です。

高校卒業後の就職について

高校からの就職も、立派な人生選択

高校卒業後、進学をするのも、就職をするのも、自分でよく考えて選んだ進路であれば、十分に立派な進路選択です。

日本では高校から大学へ進学する割合が高いですが、北欧などの教育先進国では違います。いったん就職をして、労働経験を積んでから大学に行くなど、多様な人生選択が当たりまえになっています。
これからの日本も、そうなっていくことを期待したいと思います。

高卒就職の不利な点を知っておく

現行の日本の制度では、大卒の就職と、高卒の就職は、制度がまったく異なります。
以下に、その一例を示します。

応募形式

大卒:個人応募
高卒:学校推薦(保護者の承認も必要)

募集のある企業(主に)

大卒:全国の大企業から、地元の中小企業まで
高卒:地元の中小企業

得られる内定(合格)の数

大卒:いくつでも
高卒:1社のみ

このように、高卒の就職は、不利な点が多いのが現状です。
他にも、いちどに複数の応募ができない「一人一社制」と呼ばれる制度があったり、初任給(入社して最初にもらうお給料)が低い、会社と合わなくて辞めてしまう人が多い、などがあります。知識として知っておくと良いですね。

「就職に強い高校」とは

サポートが手厚いことが多い

応募書類の作成の手伝い、面接練習など、就職率の高い高校はサポートが手厚いことが多いです。

応募できる求人は、どこの高校からでも同じ

企業からの求人は、ハローワークという機関を経由して高校へ流れます。どこの高校からでも、すべての求人にアクセスすることができます。

大まかに、高校からの就職に関する要点をまとめました。
では、実際にどの高校を選ぶのか?については、じっくり相談が必要です。塾をたくさん活用してください。

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