ある集団塾に勤めていたときのエピソードです。
その塾では、中3の夏休みに、希望制の勉強合宿(3泊4日)がありました。
その年は、参加者をA~Jの10チームに分け、最終日のテストで優勝チームを決めるという形になっていました。それぞれのチームに先生がつき、優勝に向けて鼓舞します。1日中授業を受けたあとも、ほとんどの生徒が深夜まで自習をし、早朝から起きてまた自習をしていました。
生徒の睡眠時間の平均は5時間ほどだったかと記憶しています。
その中で、「チームB」だけが、ちょっと異質な動きをしていました。
チームBの生徒たちは、とにかくよく寝ました。朝は、自習時間が終わる頃にやっと起きてきました。1日の授業が終わったあとは、自習室に残ることなく、さっさと部屋に戻って寝てしまう。
そんな3泊を過ごし、最終日のテスト。
チームBは、他のチームに大きな差をつけて優勝しました。
睡眠を制する者は試験を制す
脳は、睡眠中にただ休憩をしているわけではありません。
その日に学んだことを、整理し、記憶として定着させ、次の学習の準備をしています。
学習成果をしっかり出したいときこそ、十分な睡眠をとることがとても大切です。
必要な睡眠時間として、中学生~高校生の場合、8時間とっておきたいところです。
部活の朝練や習い事、家族のスケジュールなど、どうしても8時間とれない事情もあるでしょう。
最低限のラインとして、絶対に7時間は寝るようにしましょう。
私の経験上、睡眠が7時間を下回っている生徒は、どんなに勉強しても学力が下がっていきます。
睡眠時間を守ることのメリット
人は、「寝るときに今日の1日が終わる」と思いがちです。
その考え方で勉強をしていると、「勉強できる時間を引き延ばせる」ような感覚が身についてしまいます。
入試などの試験に関して言えば、実際はそうではありません。
試験の開始時間は厳密に決まっていて、1分たりとも延ばすことができないのが、本当の試験。
「試験に間に合う学習」をするためには、日々、「寝ると決めた時間に間に合う学習」を重ねる必要があるのです。
脳を働かせるためにも、時間感覚を身につけるためにも、特に定期テストの前夜などは寝る時間をしっかり守りましょう。
寝ずに学びたくなることのおもしろさ
上に書いたことは、「試験で高得点(合格点)をとる」ことを前提にした場合の話です。
勉強していたら、楽しくて眠れなくなる。
そんな瞬間こそ、本当に実りのある、人生を豊かにしてくれる学びの瞬間でしょう。
生徒のみなさんには、そのような体験も積んでほしいと思います。
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