中学校の各段階で、高校をどのように選んでいくと良いかについて解説していきます。
①では、公立高校を選ぶ〈視点〉について。
②は〈中1~中3のスケジュール〉〈説明会に行くときのポイント〉〈私立高校〉について。
③では〈学校のレベルの考え方〉〈高校からの就職〉について書いています。
ぜひ、参考にしてみてください。
高校選びの3ステップ
1.高校に求める視点・条件をリストアップする
2.条件を〈譲れない条件〉と〈その他〉に分ける
3.〈譲れない条件〉を満たす高校から探していく
高校選びの様々な視点
距離・アクセス・立地
条件としては「家から〇分以内」「乗り換えが〇回以内」「駅から徒歩〇分以内」「バス通学OK/NG」などの形になります。
通学時間に関して、平岡の推奨基準は「50分以内」程度です。
感じかたには個人差がありますので、下のポイントを参考にしてください。
ポイント① 1回行くのと毎日行くのは違う
家から1時間かかる学校に、文化祭などを見に行って「意外と平気だな」と思うこともあります。
しかし、1回だけイベントに行くことと、毎日通うことは別物です。暑い日も寒い日も眠い日も、毎日往復できるかどうかをしっかり想像しましょう。
電車の込み具合などは、時間帯によって大きく異なります。特に、上り電車(横浜方面/新宿方面)は混みやすいことを意識しておきましょう。
ポイント② 30~40分程度なら、慣れたら平気なことが多い
中学校が家から近い人は、「通学に30分なんて、遠すぎる!」と思うこともあるでしょう。しかし、30分で通える高校はかなり近いです。
立地について
高校の場所も様々です。田んぼに囲まれるように建っている学校、住宅街の中にあるような学校、横浜中華街の目の前にある学校、などなど。
近くに大きい街や遊び場が多いと「楽しそう」に感じますが、そのような学校は敷地が狭く不便なこともあり、一長一短です。
雰囲気
「雰囲気が合う学校がいい」と思うのは当然です。
しかし、その「雰囲気」を感じ取るのは、なかなか難しいものです。
文化祭や説明会で見られるのは、特別な日の雰囲気でしかありません。
平日の普通の日に見学できる高校もあります。
それなら、ある程度「雰囲気」もわかるかもしれません。
ただ、いずれにしても難しい判断軸です。
できれば、もっと具体的な判断基準を持っておくことがお勧めです。
足を運ぶ以外の方法で、学校の雰囲気をある程度判断することも多少は可能です。
気になる人は、塾で聞いてください。
施設・きれいさ
〇〇がある学校・ない学校
プールの有無、食堂の有無、カウンセラーが常勤か、などが気になる人もいます。
『神奈川県高校受験案内』を閲覧すればわかります(塾にあります)。
〇〇が広い・整った学校
図書館が充実した学校、グラウンドが広い学校、など。
ホームページを見てわかることもありますが、見に行った方がよくわかります。
きれいな学校
学校のきれいさ(新しい・古い)は、たいてい1か月も通えば気にならなくなります。
『新校舎を建設中!〇〇年完成予定!』は、多くの場合は予定通り完成しません。
新校舎を期待して入学し、仮設校舎に3年間に通い続けた生徒をたくさん知っています。
学校のレベル・進路状況
学校のレベルは、合格できるかどうかにも関わってきますから、もちろん重要です。
入学レベル(偏差値)の差は、多くの場合、大学進学実績とも強く関係します。
また、高校卒業後に就職を考える場合は、「就職に強い高校」という視点も出てきます。
レベルをどう判断するのか?
レベルは高い方がいいのか?
レベルを下げた方が大学の推薦がとりやすいのか?
就職を考える場合、高校をどう選べばいいか?
といったことは、次々回の記事でまとめています。重要なことですからぜひ読んでください。
校則
校則がゆるい方がいいと感じる人、厳しい方がいいと感じる人がいます。
「校則がゆるくて自由な学校」と言えば良さそうに感じますが、「髪を染めたりしている生徒が多い学校」とほぼ同じです。それは嫌だなと思う人もいるかもしれませんね。
(ちなみに私は、高校生は自由な環境で自由な格好をすれば良いと思っています)
校則をしっかり見比べたい人は、こんなサイトも参考になります。
全国校則一覧(神奈川)
部活
「〇〇部がある学校がいい」「〇〇部が強い学校がいい」という希望も多いです。
(逆に「〇〇部がある学校がいいけど、強すぎるのは嫌だ」という人もいますね)
高校で特にやりたい部活がある人は、もちろんそれを重要視すると良いでしょう。
ただ、高校は、新しいスポーツや文化活動との出会いのチャンスでもあります。
昔の生徒のH君は「高校では陸上を頑張りたい」と言って進学したのに、なぜかパントマイム部に入って楽しんでいました。おもしろいものです。
行事
文化祭・体育祭などが盛り上がる高校がいい!と感じるのはとてもよくわかります。
盛り上がる行事は、高校生活の大切な思い出になります。
気を付けるべきは、それらの行事は年に1度のイベントでしかないということ。それを重要視しすぎるのはリスクもあります。
行事を大切に考えるなら、「生徒自治」などを重要視している学校がいいかもしれません。
高校のホームページを見るとわかることが多いです。
専門性の高い学校やコース
「工業高校」「国際科」「理数科」「音楽コース」など、専門的なコースも多々あります。
高校から好きなことができるのは素晴らしいことですが、もちろんデメリットもあります。
じっくり考えるべきことですから、ぜひ塾で相談してください。
単位制の学校・総合学科の学校
単位制・総合学科って何?という人は、ぜひ調べてみてください。
(※単位制と総合学科は別物ですが、ここでは同じように扱っていきます。)
有名な高校では、サイエンスフロンティア、神奈川総合、横浜国際
大和から近い高校では、横浜緑園、藤沢総合などがそれにあたります。
特徴① 興味のある勉強を選択しやすい
選択できる授業が多いのがひとつの特徴です。決まった興味があると楽しいですが、特にない場合は選ぶのが難しいかもしれません。
高校のホームページを見ると、どんな授業が選択できるのか調べることができます。
特徴② 友達の作り方が違う
クラス単位で動くことが少なく、授業ごとにメンバーが入れ替わります。
「同じクラスで仲良くなる」だけでなく「同じ授業を選択した人同士で仲良くなる」という可能性が高くなります。
特徴③ 3年で卒業しにくい?
3年で卒業することが普通科より難しいと言われることもあります。
ただし、大きな違いはありません。それを気にして避けるほどではないでしょう。
入試科目
入試科目に注目する場合の視点は主に3つです。
5科目を全て必要とするかどうか
極端に苦手な科目が1つある場合、4科目受験・3科目受験の高校を選択肢に入れてもいいかもしれませんが、学校数はかなり少ないです。
特色検査(筆記型)が必要かどうか
特色検査は、神奈川県の公立高校(特に、ほとんどの「トップ校」)が実施している、科目横断型の試験です。5科目(~9科目)の考え方を複合的に使うレベルの高い試験ですが、避けるべきということはありません。
特色検査(実技型)が必要かどうか
専門的なコースでは、実技型の試験(絵、体育、音楽、スピーチ等)が課されます。
志望校をしっかり考える意味
以上、高校を選ぶときに多い視点についてまとめました。
もちろん、他にも様々な視点(制服、学校の理念、などなど)があるでしょう。自分が何を大切にしたいのか、よく考えましょう。
最後に、このように様々な視点を持って志望校を考えることには、どんな意味があるのでしょうか。
①今後の進路選択の練習になる
大学受験をする場合も、就職をする場合も、その他の進路を選択するとしても、考えることは高校選びよりもさらに多く、複雑になります。
いま、いろいろな視点で真剣に高校を比較検討する経験は、確実にこれからの人生で役に立ちます。
②勉強への意欲が出やすい
なんとなく決めた志望校や、他人に与えられた志望校よりも、自分でよく考えた志望校があった方が勉強への意欲が出やすいです。
この記事で書いたことはごく一部です。少しでもわからないこと、迷うことは、遠慮なく塾で相談してください。
平岡は、国家資格を持った、進路選択の専門家でもあります。ぜひ、じっくり話して相談しましょう。
コメント