2025公立高校入試を終えて

2025年度の神奈川公立高校入試が終わりました。
中学3年生の皆様も、保護者の皆様も、教育関係者の皆様も、お疲れさまでした。

開校初年度の高校入試

塾として最初の高校入試。
寺子屋もくもくは個別指導塾ですが、毎週土曜の夜には中3だけが集まって机を囲み、入試過去問の解説授業を行いました。
土曜には過去問演習。その振り返りをもとに平日の個別学習。この繰り返しで、全生徒が着実に得点力をつけていきました。

入試の試験内容として、出題傾向に変化はないものの、科目ごとの難易度のが大きく上下。得意科目の難易度が下がった生徒さんにとっては、難しい入試でもありました。
試験翌日にはまた全員で集まり、入試の復習会を行いました。

最終的に、希望が丘、鵠沼、向上、光明学園相模原、相模女子大学付属、湘南台、横浜翠陵、横浜瀬谷、横浜緑園の合格となりました。(※公立・私立含む/五十音順)

合否もさることながら、高校入試の価値はそのプロセスにあります。
それぞれの生徒が、自分の数字と向き合いながら、真剣に進路を考え、悩み、自己決定をしていきました。
この経験を持って次の環境に向かっていくことが、何よりの財産です。

今年の中3生が示してくれたこと

学習科学の知見に則り、彼らには最後まで「宿題」を出しませんでした。
できないこと・やらないことを叱ったり、危機感を煽るような関わりもしていません。
学びの支援者としてその場に居ることに徹しました。

結果、彼ら全員が、素晴らしい成長を見せてくれました。
課題点を自分で考え、自分の弱みと向き合い、アドバイスを求め、自分で決めた学習量をきっちりこなし、いつの間にか(私も気づかないところで)努力をし、着実に力をつけていきました。

受験を終えた生徒たちは、3月も全員が塾に来て、それぞれの方法で高校進学準備を進めています。
成長に必要なものは、指示や管理ではなく、背後からの支援。それを改めて確信しました。

北風ではなく、太陽として関わる

高校受験の世界では、中3になったすべての生徒に対して「受験生」と名をつけ、「受験生らしさ」「受験生としての自覚」といった言葉で追い詰める文化があります。
多くの中学生が、その過程で学びへの意欲を失ってしまいます。

すべての15歳に一律同様の成長や努力を求め、偏差値で個人を競わせたり、「これくらいできないと」「社会に出たら」等の言葉であおる指導は、彼らが自ら伸びる力を奪い、今後の成長に影をおとします。

童話『北風と太陽』の太陽のような教育を、広げていきたいと思います。

自立した大人になること

受験を終えた生徒たちには、「お疲れ様会」の中で【自立した大人になるために必要なこと】というテーマでメッセージを伝えました。

自立とは、依存先を増やすこと。

熊谷晋一郎さんの言葉です。

自立とは、ひとりで生きていく力や、仕事をしていることを指すのではありません。
仕事も含め、依存できる集団や人間関係をいくつか持っていること。
困ったときに助けになる機関や制度を知っていること。

自立のためには、逃げるべきものから逃げること。

自分の心身を傷つけるもの、追い詰めるもの。
個人主義的・能力主義的な思想や仕組み。
「自己責任だ」とか「生き残るために」とか「社会の厳しさ」といった言葉を使う人。

しなやかに立つために、自分の軸を育てること。

依存し、逃げるだけでなく、自分の生き方や価値観、いわば「軸」を育てていくこと。
それはすなわち、学び続けること。

寺子屋もくもくでは、これからも〈心理的安全性〉と〈自ら学ぶ力〉にこだわります。
「受験生」のレッテルを貼らず、それぞれの生徒が自ら伸びる環境づくりに徹しながら、次の高校受験・大学受験に向けて、さらにはその先の生徒たちの自立のために、指導を続けていきます。

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